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本当は誰にも教えたくない!女性にやさしい絶品料理の隠れ家カフェ

不忍通りから少し入ったところに、いたって控えめに「雨音茶寮(あまねさりょう)」という看板が。「出汁茶漬け」という文字に惹かれ入ってみると、なんとも心地いい空間が広がっていました。そんな寛ぎの古民家カフェをご紹介します。

扉を開けた瞬間に感じる出汁の良い香り

「雨音茶寮」の落ち着いた木の雰囲気が漂う入り口前の黒板には、手書きの文字で「本日のお食事」として「出汁茶漬けセット 4種の小鉢付き」と書いてあります。カフェ風のお店に「出汁茶漬け」というのが、なんとも不思議な組み合わせなのですが、とっても美味しそう。そっと扉を開けると、ふわりと出汁のいい香りが漂っています。
お食事をいただく前から、この空間は好きになりそうな予感。それはもしかすると、ところどころに活けてある花、花瓶、ちょっとレトロな感じのする調度品など、様々なものが醸し出す空気のせいもあるのかもしれません。

まず自分がワクワクできる隠れ家的な空間を作りたかった

雨音茶寮がオープンしたのは、2018年の9月。間もなく1年になろうとするところですが、常連さんも多く訪れる知る人ぞ知るカフェになっているようです。店主の那須野さんは思春期をイギリスで過ごしました。そこで古いものを大切にしながらも、新しいものも上手に取り入れる文化に触れ、いずれは古いけれど趣のある魅力的な空間を自分の好きなようにコーディネートして作りたいと思っていたのだそう。

「私は12歳から18歳までイギリスの伝統的な寄宿学校に在学していました。広い敷地に築200年近い建物とモダンな建物が混在する美しい学校で、そこで生活しているうちに古いものや建物、デザイン性の高いものが好きになりました。でも、大学生になって日本に帰ってきてみたら、自分がワクワクするような、隠れ家的な面白い空間はなかなか見つからなくて。いつか自分で作れたらいいなと思っていました」(雨音茶寮店主・那須野さん、以下同)

角がないテーブルで、丸い気持ちになってもらいたい

そんな那須野さんが千駄木の1軒の古民家に出合ったのは、強い思いが引き寄せた必然だったのかもしれません。

「ここは、もともとは一棟貸しの民泊施設だったのですが、二階が屋根裏部屋のようで見た瞬間に面白いと興味を持ちました。こうしたい、ああしたいとイマジネーションが膨らんでいって、じゃあここで自分がワクワクする空間を作ろうと思い立ったんです」

ちょっと見るとわかるのですが、テーブルやランプなどの内装は、どれも一味違います。ここにしかないもののような…。

「内装デザインは信頼できる友人の建築家にお願いしました。テーブルや壁の棚、座布団も全部オーダーで作ってもらったのですが、角がないのがわかりますか?お客様に丸い気持ちで過ごしていただきたいなと思い、すべてこういう形にしました。ランプの傘などもオリジナルで、いたるところに真鍮を使っています」

ガラスや器も好きだという那須野さんは、フランス人作家の花器や日本人作家の器も多く集めていたのだそう。それを全部この店に持ってきてしまったと聞いて、だからこその空間なのだと納得がいきました。人は、自分の好きなものに囲まれているのが一番幸せを感じるはずですから。

スタッフのほとんどが元はお客様

那須野さんが自分の好きなものばかりでまとめた空間に、「出汁茶漬け」を出そうと思ったのには、何か理由があったのでしょうか?

「よくあるカフェのワンプレートのような食事は出したくありませんでした。ひとり暮らしの女性が、仕事のあと遅い時間に帰ってきて、お腹すいたなと思ったとき、体に優しくてホッとするようなものを食べたいと思いますよね。それは牛丼やファストフードではないと思うんです。このカフェが、そんな働く女子の力強い味方的なものになればいいなとも考えました。そして思いついたのが出汁茶漬けです」

出汁茶漬けのセットには、4種の小鉢がついています。それがまた私たち女性にはうれしいポイント。基本、作り置きはしないそうで、小鉢はなくなったらどんどんメニューが変わっていきます。その日、手元にある素材でいろいろ作っていくのだとか。

「私もですが、スタッフも料理が好きな人、そして主婦も多いので、みんなで相談しながら作っています。最初は友人に頼んだりして交代でスタッフとして来てもらっていました。でも、事情があってこられなくなった人がいて人手不足で困っている時に、常連のお客様がじゃあ自分が入りたいと言って来てくれて…。そんなわけで、実は今いるスタッフのほとんどは元はお客様だった人なんです」

お客として来ていた人が、やがて店を手伝いたくなる。それこそ、この店の居心地の良さの証明と言えるのではないでしょうか。

ここに住みたいというお客様もいる居心地の良さ

雨音茶寮は、11時半のオープンから22時のクローズまで、基本的にメニューは同じです。日本茶やコーヒー、那須野さんの友人のパティシエに依頼したスイーツ、出汁茶漬けセットを中心とするお食事、そしてクラフトビールもあります。常連のお客様の中には、何度もオーダーを繰り返しながら長時間滞在する方もいるのだそう。

「その方は、ここは仕事がはかどるから長くいさせてもらうねと断ったうえで、最初はコーヒーに始まって、スイーツに日本茶、ビールに食事、そしてまたデザートで締めてくださることも。お客様の中には、ここは癒される、住みたいといってくれる人も多くいらっしゃって、そんな風に居心地の良さを感じていただけるなら、本当に嬉しいなと思います」

今後は、アフタヌーンティのメニューも考えていきたいとのこと。「自分が美味しいと思うもの、ワクワクするものだけを出したい」と言う那須野さんのよるアフタヌーンティはどんなものになるのか、とても楽しみです。
ちなみに、店名の由来は、那須野さんが雨の音が好きだったからだそう。この日、お店を出る時間の少し前からちょうど雨が降り出して、屋根裏部屋のような造りになっている二階の屋根を叩く雨の音が心地よく鳴り響いていました。
writer / reeeko photo / 後藤洋平(gtP)、reeeko

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