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食べられるミュージアム!?五感を使って「食べる」を体験する驚きのお店

「食べる」という日常の行為にスポットを当てて、あらゆる可能性を発信している「風土はfoodから」。与えられたものをただ食べて消費するだけでなく、見る・触わる・嗅ぐ・味わう・聞くの五感を使って、食べるを体験できる、他にはない新感覚のお店を紹介します。

新感覚の食べられるミュージアム

ダジャレのような名前からは、何屋さんなのか想像がつかない「風土はfoodから」は、食べられるミュージアム。千代田区の元は酒屋さんだったビルの1、2階を利用して、さまざまな情報を発信している、ちょっと不思議なスペースです。
1階は「常設展」の食堂。2階は「特別展」として食を中心としたさまざまなイベントが行われるスペース。
この不思議な店名の由来をスタッフの永沢さんに聞いたところ「食べ物は、その土地の気候や地質、つまり風土から生まれます。そして、その食べ物を食べた人たちが新しい風土を作っていく。こうした循環を、この場所でも実現できたらという思いが込められています」とのこと。
絵画作家でもある永沢さんは、同店でホールを担当するほか、「食」や「風土」をキーワードとしたイベントの企画や運営も行っています。イベントにはその他にカメラマンやデザイナー、文化人類学の研究者など、さまざまな人がかかわっているのだとか。今ではそういった人たちが自主企画のイベントを行うこともあるそう。なんだかとっても楽しそうですね。

食を五感で体験する、刺激的なイベントを開催

1階・2階の空間を活かして行われるイベントはかなりユニーク。たとえば第1回目の企画展示は「あたらしいかんてん」。秋田県では果物や野菜、玉子など、なんでも寒天で固めて食べるという文化があるそう。そこで、秋田県の寒天使いのプロ、名付けて「寒天使」をゲストに招いたトークショー「寒天使の観点」を開催。イベントや展示期間中に寒天を使った珍しい料理を現物展示し、希望すれば、その料理を購入して食べたり、レシピを教えてもらうことができるという、見て、聞いて、食べて、知ることができる企画を実施したそう。また、最近では「音×酒×椿(オトサケツバキ)」というイベントが行われました。擬人画家のツバキアンナさんと、ミュージシャンの丸山茂樹さんが、二つの日本酒の蔵元をセレクト。その蔵元のお酒を飲んで、ツバキさんはお酒を擬人化した絵を描き、丸山さんは音楽を作曲。
通常は言葉で表現する日本酒の味を、絵や音楽で表現するという新しい試みは興味深いですね。参加者はその日本酒を飲み、この日のために作られた、おつまみ弁当を食べながら、絵を見て、音楽を聞いて、日本酒を五感で味わったのだそう。
「『食べる』ということは単なる消費ではなく、自分の体の組織を作る大切な行為。ここでは、視覚や聴覚などの五感を通じて、楽しみながら自分が口にするものの背景や情報に意識を向けて欲しいと思っています」と永沢さん。
自主企画の持ち込みも大歓迎とのことなので、何かやってみたいという人は、ぜひ相談してみてください。

作り手の思いが詰まったおばんざい3種のランチ

「風土はfoodから」を、まずは気軽に体験してみたいという人には1階キッチンのランチがおすすめ。
メニューは、おばんざい3種盛りの定食のみ。おばんざいは日替わりで、京都や千葉の農家で作られた無農薬野菜や、自家製の調味料などを使ったバランスのよいランチをいただくことができます。
この店の料理の監修にもかかわっている、台所研究家の中村優さんは、世界中を旅して出会ったおばあちゃんに声をかけ、料理だけでなく、その方の思い出や歴史を聞く「ババハント」という活動をしている方。その活動を1冊にまとめた『おばあちゃんの幸せレシピ』という本からも伝わってくるように、レシピにはただの料理の作り方ではなく、それを考案した人たちの思いや知恵、生きるヒントが詰まっています。
私が訪れた日のおばんざい3種は、鶏ももと汐止晩葱の自家製塩麹炒め、牛バラと葉ニンニクの玉子とじ、ワラサと新玉ねぎの南蛮漬け、これにご飯(自分で好きなだけ盛ることができます)と、お味噌汁、筍と雪菜花(ゆきなばな)の土佐煮の小鉢がついて1,000円。
春から初夏にかけてが旬だという汐止晩生葱は初めて食べましたが、自家製の塩麹によって、甘味と旨味が引き出され、とっても優しい味わい。作り手の思いが伝わってくる、満足感たっぷりの美味しい定食でした。

食べることを楽しみながら考えるきっかけに

同じトマトひとつでも、穫れた季節や場所、品種、さらに作り手が違えば味も栄養価も変わります。その食べ物が私達の血や肉、髪や爪になると考えたら「食べる」という行為を、もうちょっと意識してもいいのかもしれません。永沢さんは、昨年の6月に狩猟免許を取得したそう。さらに「風土はfoodから」(昨年7月末オープン)の立ち上げからこれまで拘わってきたことで、ただ、与えられたものを食べるのではなく、その食材がどのような環境で育ち、どのような人に、どうやって料理されるかを知ったことで、永沢さんが描く絵にも変化があったと言います。
食のミュージアム「風土はfoodから」に行けば、自分自身も気付かなかった何かに気付くことができるかもしれません。五感を刺激する新たな食の世界の扉を、あなたも開けてみませんか。

writer / カオリーヌ photo / 風土はfoodから、カオリーヌ

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