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新生活に疲れた?そんなときにおすすめの、心にじ~んと沁みる3冊の本

新生活がスタートしたばかりの今、やる気が溢れていたり、不安になったり…。落ち着かない日々を過ごしていませんか?そんなときに、心に寄り添ってくれるような本がないかと、「本と手紙にまつわる」をテーマとしたお店「Amleteron(アムレテロン)」に行ってきました。

新生活の慌ただしい日々に読書の時間を

新年度に入り、少し日が経ちました。毎日がんばろう!と思っているけれど、急に不安が押し寄せる…そんな浮き沈みのある日々を送っている方も多いかもしれません。そんなときこそ本を読み、心を落ち着ける時間を作りませんか?

今回、取材で伺ったのは、心の隙間にすっと入り込んでくるような本が揃うお店「Amleteron(アムレテロン)」。東京・高円寺駅の北口から5分ほど歩いたあづま通り商店街の中、ベージュとホワイトのボーダーのひさしが目印です。

店主アマヤさんの思いが詰まった店内

扉を開いて一歩入ると、店内には本やレコードのほか、レターセットなどの雑貨がずらり。店名のAmleteronとは、エスペラント語で「ラブレターを」という意味。「読書と手紙にまつわる」をコンセプトに、店主のアマヤフミヨさんがセレクトしたアイテムが並んでいます。
「ふとした言葉が胸に響く本は、心になにかを残してくれる手紙と似たところがあると思っています」とアマヤさん。たしかに棚にある本を見渡すと、まるで親しい人からの手紙のように、私たちをそっと励ましてくれたり、寄り添ってくれそうなものがたくさん。

そこで、新生活で慌ただしい日々を送る人に届けたい、手紙のような本をアマヤさんの視点で3つ選んでいただきました。

これまで出会った人たちはそばにいると感じられる短編集

1冊目は、『all that is beautiful』。イラストレーターの須山奈津希さんと、音楽や美術などの分野で活躍する安永哲郎さんの共著です。須山さんの描く短編コミックの合間に、安永さんによる小説が挟まれています。

「コミックには、須山さんが周りの人と交わったときの出来事や、そこでの思いなどが描かれています。一貫して綴られているのは、たとえ距離は離れても、人との繋がりは残り続けるということ。今は疎遠になってしまった人でも、その人と一緒にいたことで、互いに影響し合って、それが自分の考え方や行動に変化をもたらすことがありますよね。人はひとりで生きているけれど、誰かから受け取った『なにか』を抱いて歩いている。そういった気づきがこの本には書かれています」(アマヤさん)

本の中の会話やモノローグは、なにげないのに胸の奥深くに沁みてくる感覚があります。
これまでと異なる環境で過ごすようになると、過去に親しかった人も遠くなってしまったように感じられたり、自分だけがひとりで必死になっているような感覚に陥ることがあるかもしれません。けれど、この本を読むと、誰もがそういう不安な気持ちを抱えながら歩んでいることや、実際に目の前にはいなくても誰かがそばにいるということを感じさせてくれそうです。

日々の中にある美しさに目を向けられるようになる詩集

続いては、西尾勝彦さんの詩集『歩きながらはじまること』。
「忙しい毎日を送っているとつい見過ごしてしまいそうな、日々の美しさが散りばめられた一冊です。読むと、ただ過ぎ去っていくだけのような毎日の見え方が少しだけ変わるかも。詩を敬遠する方もいますが、難しさはまったくありません。ぱっと手に取って開いたページを読んでみるのもいいかもしれませんね」

実際に見てみると、自然体で表現されているものが多く、スラスラと読むことができます。例えば、西尾さんが幼い頃に住んでいた地を訪れたときの日記のような詩、『路地裏の記憶』。過去に暮らしていた家があった場所には別の家が建っていて、「あらゆるものは、消え去るのだ。父も、家も…(省略)いつか、私も」と感じたことが綴られています。ただ、そのあとに「路地裏だけは、そのまま残っていた」と続き、さまざまなものが移り変わる中でもわずかに残る記憶に、小さな希望が感じられます。

この詩集から改めて気づかされるのは、日常のほんの些細なことに、楽しみや喜びが見つけられるということ。新生活で慌ただしく過ごしていると見逃してしまいがちですが、すぐそばに大事なものがあると思い出させてくれ、一日一日を大切に過ごしたいという思いが芽生えてきます。

好きなことを貫き、限りある時間を大切にしたくなる作品集

『やまぐちめぐみ作品集』は、病のために49歳という若さで亡くなった、画家・やまぐちめぐみさんの絵が集められた一冊。多くは青い瞳の少女の絵で、この澄んだ瞳の奥に何がうつされているんだろう…と見入ってしまいます。巻末には、親しかった3人の方のエッセイと、本人が雑誌に寄稿した文章も掲載。

「やまぐちさんは31歳のときに大阪に家族を置いて東京に出てきて、本格的に絵を学び始めます。病気になってからも、ずっと絵を描いていて。この本では、絵のほかに、本人が東京に出てきたときの思いを綴った文章も載っています。その思いを読むと、好きなものを貫く生き方というものを考えさせれらます」

自分でやると決めて始めた新生活でも、辛く、くじけそうになることもあるかもしれません。そんなとき、この本を手に取れば、決意したときの原点に立ち返れたり、限りある時間を無駄にせずに歩もうと背中を押してくれるはず。新生活は期待と不安が伴うもので、ときに辛さの方が大きくなることもありますが、自身の力で進むしかありません。ただ、これらの本を開くと、日々の中で薄れかけていた身近にある大切なものの存在や、自分自身のことを思い返すきっかけとなり、前を向かせてくれます。

丁寧に選ばれた本や雑貨との出合いを楽しんで

アマヤさんは、本は一冊一冊厳選し、雑貨は作家さんと直接話をして、心から薦めたいと思うものだけをお店に置いているそう。大切に選ばれたものたちは、なにかを私たちに語り掛けてくるようです。
実は私自身、仕事のことなどで気が張りつめていたときにお店に立ち寄り、心にすとんと入ってくるような本に出合え、励まされる思いがした経験があります。ほかの方にも、そんな思いを味わってもらえたらうれしいです。
writer / ゆりか photo / ゆりか

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