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「今が一番いいときよ」は人それぞれ…妊娠や育児における価値観の違い

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妊娠・出産・育児において、いろんな言葉をかけられることがあると思います。ありがたい言葉であったり、心が癒され、涙するような言葉もあるでしょう。

しかし、妊娠・出産・育児に置いての価値観は人それぞれで、ときに押し売りをしんどく感じてしまう人もいます。

助産師である筆者が今までに聞いた、“価値観の押し売り”について、自戒の意味も込めてまとめてみます。

「今が一番いいときよ」

筆者はあるママからこんな思いを打ち明けられたことがあります。

「育児がしんどいんです。とにかくおかしくなりそう。心が壊れそうで怖いんです…」と。

このママには2歳と4歳のお子さんがいます。ご出身は遠方で、夫の転勤で見ず知らずの土地に転入してきたたばかりでした。産後に一度は復職したものの、転勤のために泣く泣く仕事をやめた経緯がありました。

「おかしくなりそう!」という、叫びのような思いを誰かに助けてほしいと願い、親戚の女性に話したところ、こんな言葉が返ってきたそうです。

「なに言ってるのよ~。今が人生で一番いいときなのよ~」

と。

その言葉を聞いた夜に号泣したそうです。

さらに

「育児しかしていないのに、ぜいたくな悩みよ~」

とも言われたと……。

そのママは、「おかしくなりそう」なほど追い詰められていました。しかしご親族の方はその「おかしくなりそうな思い」を受け止めることなく、「今が人生で一番いいとき」だと伝えてしまいました。

 

「今が一番いいときよ」の真意は?

出典: It Mama(イットママ)

育児中に 「今が一番いいときよ~」という表現は、よく耳にします。

真意は何でしょうか。

「ママと手をつないで歩けていいわね」

「抱っこやおんぶができていいわね」

きっと、理屈抜きに“子どもの存在自体がかわいい”と善意で言ってくれているのでしょう。悪意をもって言われている言葉ではないことは100%理解できます。

しかし、“今が一番いいとき”なのかどうかは全員違います。

「こんなにしんどいときが、人生で一番いいときなの?」と苦しくなる人がいるかもしれません。

妊娠・出産・育児における価値観の押し付けは、まだまだあります。

たとえば、

●「子どもを産んで、ようやく一人前よ」

→この言葉は、妊娠したくても不妊で流産くりかえしているかもしれない人には、「あなたは一人前ではない」と言っているようなものかもしれません。

●「困ったことは夫婦で相談するのが一番」

→あなたはそうかもしれないけれど、浮気や暴力を繰り返す夫もいます。夫婦関係で悩んでいるかもしれない人にとってはキツい言葉に感じるかもしれません。

●「お母さんが言うことは、あなたを思って言うことなんだから正しい」

→「あんたなんか産まなきゃよかった!」などと言われて親を信じられなくなっている人もいますし、その家庭のことは当事者しかわからず、人に言えない悩みがあるかもしれません。

 

育児中にしてほしいのは共感

「じゃあ、どんな言葉をかけたらいいの?」と思うかもしれません。以下のような言葉ならいかがでしょうか。

「つらいんだね」

「がんばってるね」

「私は、いいお母さんだと思うよ」

育児中は、自分の思いを受け止めてもらえるだけでラクになることがたくさんあるように筆者は思います。

価値観はさまざまで、自分の当たり前が相手の当たり前とは違う可能性もある。“こういうものだよ”と押し付けられると、ますます苦しくなる人もいる。

自分の経験だけで“ふつう”は語れないからこそ、価値観を押し付けることなく共感することを大切にしていけたらと筆者は思っています。

 

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