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すき間時間が充実!文学部教授に聞く明日から試したい「小説の楽しみ方」とは

画像:川柳まさ裕

電車で移動中などのすき間時間はついついスマホを見て時間が流れてしまったりと、なかなかうまく活用できないもの。そんな時には読書に時間を使ってみてはいかがですか?

その中でも、“小説”に焦点をあてて『金城学院大学 文学部 日本語日本文化学科』小松 史生子教授にお話を伺いしました。

■初めての方にオススメしたい小説のジャンルとは

―“小説”とひとくくりにしても様々なジャンルがあると思います。具体的にはどのようなものがありますか?

「日本の小説は、便宜上、芸術性を追求する“純文学”と、娯楽性をメインとする“大衆文学”、この2つのジャンルに分けて捉えられることが多いです。たとえば、純文学の新人作家を評価するものが“芥川賞”、大衆文学の作家を評価するものが“直木賞”と思っていただければ、よりイメージしやすいかもしれません。

さらに細かく見ていきますと、“大衆文学”は時代小説や推理小説など、書店で並べられているコーナーを1つのジャンルと捉えることもできます」

―ジャンルにも様々あるんですね。現代でメジャーな小説ジャンルはなんでしょうか?

「現代の、それも若者にとってメジャーな小説ジャンルといえば、“ライトノベル”が挙げられるかもしれませんね。ライトノベルとは簡単に言うと、漫画で描かれるような内容を小説で描いたものです。かつての“コバルト文庫”や“朝日ソノラマ文庫”などは、このジャンルのルーツにあたるでしょう。

“ライトノベル”は小説でありながらも漫画のように気軽に読むことができるため、あまり小説を読んでこなかった方にも親しんでもらえると思いますよ。

例えば、ドラマや映画にもなった『ビブリア古書堂の事件手帖』を聞いたことはありませんか? 古書店が舞台の作品で、例えば太宰治や江戸川乱歩の作品も出てきますが、堅苦しくなく、あくまで軽い話として触れられているため、気軽に作家や小説を知ることができます」

画像:川柳まさ裕

―気楽に読むことができるライトノベルから読み進めていくのも良いですね。

「初めての方にはオススメのジャンルです。ライトノベルは、ゲームやアニメなどとコラボしたジャンルとして強固なものになってきており、“ライトノベル研究会”というものができるほど人気が増しています。

また、2018年の近代文学会という学会では、“ゲームと小説のコラボレーション”がシンポジウムのテーマとなり、『「文豪とアルケミスト」文学全集』を分析対象の1つとして扱いました。『文豪とアルケミスト』はゲームになっているため、ご存じの方もいるかもしれません。

有名な文豪だけではなく、文学史から埋もれていたような作家までもキャラクター化されています。ゲームで初めてその作家のことを知り、実際にその作家の作品を読んでみたくなったという学生もいました。

このように、ゲームから小説に入っていくのも読書の1つのきっかけではありますし、導入としてはおすすめです。

しかし、せっかくですからゲームの世界から出て、原作にも触れてほしいですね。それは小説を読むことかもしれませんし、小説の中に出てくるものを博物館に見に行くことかもしれません。実際に学生と博物館に行き、ゲームでの脚色と原作や本物は違うものだということを知り、驚いている学生もいました。そういう違いを体感できることも面白いと思います」

 

■より小説を楽しむためのポイント

画像:川柳まさ裕

―小松先生が感じる小説を読む楽しさについて教えていただけますか?

「小説を読む楽しさの1つは“答えが一つではないこと”だと思います。小説は時代の状況を反映して書かれているものもあります。出版当時に著者が考えていたことと、現代の読み手とでは、時代背景が異なるため解釈まで変わることがあります。

ですので、“この小説はどういう時代背景のもと書かれ、どういうルーツがあるのだろう?”と考えてみるのも面白いですよ。

例えば、出版不況と言われている現在でも衰え知らずな人気を誇る“推理小説”を題材にしてみましょう。

推理小説のルーツは、遡ると18世紀末イギリスの“怪奇幻想文学”というジャンルにたどりつきます。当時、幽霊の仕業とされ解明できないものと思われていた謎が、産業革命による合理的精神の普及をきっかけに、“人間に解けない謎はない”という認識に変わっていったのです。

この世相を背景に、幽霊の仕業のように思える謎を、人間が作り上げたトリックとして探偵が解いていく“推理小説”というジャンルが生まれたんですよ」

―時代が反映されている面白い事例ですね。

「時代によってジャンルも変わりますから、ドラマにもなった菊池寛『真珠夫人』を代表とする、家族関係を描く“家庭小説”や、高度経済成長期にサラリーマン向けに書かれた“サラリーマン小説”というジャンルなども以前はあったんですよ」

 

■小松先生おすすめの小説(家)3選

―吉屋信子(よしやのぶこ)

画像:川柳まさ裕

「大正時代から昭和にかけて活躍した少女小説作家です。『乙女手帖』や『花物語』が代表作です。

『花物語』は女学生が主人公で、ミッションスクールを舞台にした作品です。当時、ミッションスクールで学ぶことに憧れる女の子の夢を育んでいたのではないでしょうか。数々のお花をテーマにした短編集ですので、特に女性には気に入っていただけると思います。

吉屋さんはエンターテインメントのストーリーテラーとして抜群の腕を持っていた作家ですので、歴史小説『女人平家』や、ホラー小説『文豪怪談傑作選 吉屋信子集(東雅夫(ひがしまさお)編)』なども楽しんでもらえると思います」

―岡本綺堂(おかもときどう)

画像:川柳まさ裕

「明治から大正時代にかけて活躍した作家で、私が大好きな作家のひとりです。

代表作の『半七捕物帳』は捕り物帳ジャンルの始まりにして最高峰とされている小説です。この作品が今日まで続いている捕物帳というジャンルを確立し、銭形平次などの有名なシリーズもここから誕生しました。

怪談を書かせると右に出るものはいないのでは、と思っています。彼の作品には、説明がつかない、落ちがない怖さがあります。

悪いことをした人にふりかかる災難の話は、悪いことをしていない人にとっては他人事になります。しかし、綺堂の怪談は因果応報の理屈がないために、いつか自分にも起こりうるのでは、という他人事ではない恐怖の余地を残しているところが特長です。

『半七捕物帳』は推理小説ではありますが、前半は怪談作家・綺堂らしいホラー風味が強いので、スリルを味わうことができますよ」

―中井英夫(なかいひでお)

画像:川柳まさ裕

「代表作である『虚無への供物』は、美青年で個性的な4人の兄弟が次々に事件に巻き込まれていく推理小説です。

誕生石に関連した4人の名前や、青いバラを巡る謎が描かれていて、作品には宝石などの鉱物や、お花、占いなど女性が好むようなアイテムが散りばめられています。ロマンティックだけれど、ミステリアスな作品をぜひ読んでほしいです。

小説を読む楽しさには、ストーリーを味わうことはもちろん、作品中に散りばめられている様々な知識を楽しく学べることもぜひお伝えしたいです。私は『虚無への供物』を小学生の頃に読んで、花の名前や誕生石などに深い興味を持ちましたね。小説を読む際には、そのような点にもぜひ注目して見てほしいです」

 

いかがですか?

小説の楽しみ方について、数多くの本を読んでこられた小松先生にお伺いしました。ストーリーそのものだけではなく、時代背景やジャンルのルーツを意識してみること、ストーリーの中に散りばめられている知識にも目を向けることで一層楽しむことができそうですね。ぜひ小松先生おすすめの本をはじめ、小説を手に取ってみてくださいね。

画像:CUCURU編集部

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※ 川柳まさ裕
※ CUCURU編集部

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