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学校の部活動を漂流させないで!

画像:足成

生まれて初めて参加した部活動は小学6年生の夏、水泳部だった。4年生の時からスイミングスクールに通っていたこともあり、“なんとなく”入部した。通年の活動ではなく夏季限定であり、夏休みはほぼ連日プールで泳いだ。

次に参加したのは同じ年の冬、バスケットボール部だった。こちらは冬季限定、特にバスケットボールにこだわりがあったわけではなく、水泳部の顧問だった先生が冬はバスケット部の顧問を務めたことが理由である。

もともと運動神経は決して良い方ではなくシュートも外しがちで、バスケット部は小学校卒業が近づくにつれてフェードアウトした。情けないが完遂できずに終わった。

卒業式シーズンを前に、学校の部活動を取り巻く環境が揺れている。

中でも名古屋市教育委員会が発表した『小学校の部活動を2020年度までに廃止する方針』には驚いた。

小学校の部活動は教育課程には含まれていない。しかし、自主的な活動として名古屋市立すべての小学校で実施されているのが現状である。それが3年以内に姿を消すというのだから、時代の大きな節目である。

その理由について教育委員会では“教員の負担軽減”を挙げ、「教員がひとりひとりの児童に向き合う環境を整える」と話す。

廃止後は地域スポーツとの連携や教員OBなどによる指導によって“教員が関わらない形”で対応していくという。

小学校だけではない。中学校でも動きがあった。

自民党のスポーツ立国調査会は『運動部活動の抜本改革に関する緊急提言』をまとめ、中学校での運動部活動を地域スポーツクラブと一体化する案をまとめた。

さらにスポーツ庁は、中学校の部活について“平日2時間、休日3時間程度の活動時間。週2日以上の休養日が適切”とした指針をまとめた。3月中に全国の自治体に通知すると言う。

このスポーツ庁ガイドラインにも登場するのが地域スポーツクラブなどとの連携である。文部科学省としても“部活動の外部委託”を推進しており、学校という枠の中で培われてきた部活動は、今、校門を出ようとしている。

そんな最中に明らかになった問題、岐阜県多治見市で市が委託した中学校のバスケットボール『ジュニアクラブ』で当時中学1年生だった男子生徒が、60代の男性監督から暴行を受けていた。この男性は罰金の略式命令を受けた。

さらに岐阜市でも外部からソフトテニス部の指導者として派遣された男性コーチが中学1年生の男子生徒に暴行、コーチの委嘱を解かれる事態が起きた。

部活動の枠が学校の外に拡がることによって、外部指導者の資質も厳しく問われることになる。

『働き方改革』が叫ばれる中、それは教員とて例外でなく大切なテーマである。

2016年12月に連合総研がまとめた『日本における教職員の働き方・労働時間の実態に関する研究委員会』報告書でも、1日の在校時間が、小学校教諭が平均11時間33分、中学校教諭が平均12時間12分であり、民間の労働者の平均9時間15分に比べて相当長いことが指摘されている。

その大きな要因に部活動がある。平日だけではなく休日出勤もある。そうした意味でも解決しなければならない課題である。

時代に合わせた改革というものはいつの時代にも必要不可欠である。しかし、物事の過渡期にはいわゆる“エアポケット”が存在する場合が多い。

学校の部活動を外部指導者や地域スポーツと連携させていく中、それを学校側は“校外活動”と捉え、保護者は“学校の外部委託”と捉えるならば、その認識のズレは責任の所在の曖昧さに結びつく可能性がある。

そこに隙間ができたりしないか。まして部活動の主役は十代を中心にした成長期の子供たちである。相当に緻密なバトンリレーが必要だ。

中学校に入学して卓球部に入部した。指導に秀でた顧問の先生と、そして心通う仲間にも恵まれ、日々夢中で練習した。そのおかげで高校そして大学でも卓球道を歩むことになった。

部活の主役である子供たちには自分に合う何かに出会ってほしい。そんな願いをこめて、学校の部活動が漂流しないよう改革の行方を見守りたい。

【東西南北論説風(36)by CBCテレビ論説室長・北辻利寿】

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※ 足成