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民放テレビ局が向き合う「2人の客」と自らの中に潜む真の脅威

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

キュウリにマヨネーズが最強なのを思い出した。

さらに、ドモホルンリンクルの無料お試しセットに興味が沸き、銘菓・ひよ子も無性に食べたくなった。

いずれも、CBCテレビで4日深夜に放送されていた『旅ずきんちゃん』の工場見学先として取り上げられていた商品。

わずか30分の番組中に起こった、心の動きだった。

CBCのような地上波テレビ放送は、受信料が必要なNHKを除いて、視聴者が無料で見ることが出来る。テレビを“広告媒体”として活用するスポンサーがいるからだ。無論、スポンサーにとってのお客さんは視聴者である。

企業は自社製品やサービスによって、客の暮らしや業績をより良いものにするなどして社会に貢献し、その対価でもって成長していくことが業。これはスポンサーだけでなく、テレビ局も企業なので当てはまるのだが、テレビ局の場合“客”が2人いる。

スポンサーと視聴者だ。

これを踏まえると、民放テレビの番組作りは、公共の福祉に役立つということを大前提として、“2人の客”どちらか一方ではなく、その両者に資するものであるのが理想的だと私は考えている。

『旅ずきんちゃん』に話を戻すと、今回はCBCのスポンサーであるマヨネーズのキユーピーと、ドモホルンリンクルの再春館製薬所の工場がそれぞれ登場していた。

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

キユーピーの工場は、私も地元・愛知県で見学したことがあるが、その時一番の思い出となったのは、見ていて爽快すぎる“高速卵割り&黄身・白身の分離”。これが番組でもしっかりと味わえ、むしろスローモーションなどによって、実際目にした時よりも分かりやすくなっていた。

商品が材料から完成品になっていく様を見ていると、私は赤ちゃんが大人になっていくまでを見守っているような気分になり、自ずと対象への親近感が増してくる。

一方の再春館製薬所の工場は、前職で公式サイトを担当していた昼ドラで何千回と拝見したあのCMの舞台がここなのかと前のめりになってしまったし、化粧品の製造過程というかつて見たことがない珍しいシーンを見ることが出来て、興味深かった。

そのまま“無料お試しセット”のフリーダイヤルが出てきそうな場面もあったが、それをネタ化してうまく視聴者の肌になじませていたように思う。ドモホルンリンクルだけに。

さて、テレビの視聴時間は、スマホなどのより身近なデバイスの普及や視聴者側の生活環境の変化等から年々減少。局の収入の核であるCMの“放送収入”も、インターネット広告に押され、業界全体として右肩下がりである。

しかし今回の『旅ずきんちゃん』を見ていて、それでも広告媒体としての優位性はかなりのものだと感じた。

スポンサーの商品・サービスを番組の一部として視聴者が楽しめるようにコンテンツ化し、マス向けに無料放送できるというのは、ネット媒体からすれば変わらず脅威に違いないからだ。

苦境にあえぐ日々が続き、ついつい自らを過小評価してしまっているような印象を受けるテレビ局。そうした自信の喪失こそが、今の彼らにとっての真の脅威であるようにも思えた30分間だった。

ちなみに、番組で訪れていた最後の見学先、博多銘菓ひよ子の工場で、私の30年来の誤解が判明した。

東京のひよ子と博多のひよ子は全く別のもので、微妙に顔も違い、東軍vs.西軍のような構図で互いにギスギスしている……ずっと信じていたこの話が都市伝説だったのである。

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

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※ CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

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