CUCURU(ククル) > エンタメ > 「私…飛ぶわ!!」2月の宮古島をアツくした、おばちゃん3人衆の大冒険

「私…飛ぶわ!!」2月の宮古島をアツくした、おばちゃん3人衆の大冒険

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

25日深夜に名古屋のCBCテレビが放送した『旅ずきんちゃん』。

今回の当コラムは、その番組中にパンサー向井さん、尼神インターのお二人、岡井千聖さん、小倉優香さんが訪れた沖縄・宮古島にある鍾乳洞・通称“パンプキンホール”で、私が3年前に偶然目撃した、おばちゃん3人衆のプチ冒険譚である。

間違っても、番組ロケに参加した女性出演者4人のうちどなたか1人を除く3人をおばちゃん認定しているわけではない。

「ちょっと、おばちゃん私たちだけじゃないのぉー」「恥ずかしいわぁー!」「仕方ないでしょー おばちゃんなんだからぁ」

沖縄とは言え、マリンスポーツオフシーズンの2月。私がそれに乗じてお安くスキューバダイビングをした翌日に参加した鍾乳洞探検ツアーで、件のおばちゃん3人衆と一緒になった。

若干くまモン気味のウェットスーツ姿でモジモジしつつも、物凄く楽しそうにしている50代と思しき佇まいのお三方。こうした女子旅をする仲間がいるというのはとても幸せなんだろうなぁという気持ち半分、これは大変なツアーになりそうだという不安半分で眺めていた。

というのも、そのツアーはビーチから陸地沿いにシーカヤックを10分ほど漕いで、海にぽっかりと口を開けた鍾乳洞に入り、同じルートで帰って来るという、ちょっとした探検だったからだ。

6組がそれぞれ1艇ずつカヤックに乗り、ビーチから東に向けて出発した。

「きゃー!きゃーーぁ!!」

1艇だけ大海原へと突き進んでいくおばちゃんたち。その先にはフィリピンがある。

ガイドさんがすっ飛んで行って舳先を鍾乳洞の方向に戻す。

「危なかったわねー!」「ガイドさん素敵じゃない?」「うふふふ♪」

波の音にかき消されることなく聞こえてくるおばちゃんたちの声が、鍾乳洞の入り口で待っていた私たち5組に少しずつ近づいてきた。

目的地である鍾乳洞の入り口は狭く、手前でカヤックから降りて泳いでいくようだった。潮の具合によっては催行不可となるという事前の説明を思い出して納得した。

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

ちなみに降りると言っても足のつかない海にそのままチャポンと入り、ライフジャケットの力で浮くというスタイル。プールではないので、波もあれば流れもある。

「大丈夫なのぉー?」「浮くの?ホントに浮くの?」「怖いわーぁ」

まだ全体の4分の1くらいの行程の場所だったが、この時点ですでにツアーの主役はおばちゃん3人衆。果たしてカヤックから降りて無事に海に浮けるのか……ガイドだけでなく、5組の参加者全員が見守る。

ままよ!とカヤックから海に体を投げ出したおばちゃん。誰もが大騒ぎを予想していたが、恐怖のあまり声が出ないらしく、あばばばばと浮きながら手足をばたつかせている。逆に怖い。

そんな調子で全員がカヤックから降り、泳いで鍾乳洞に入ると、いきなり丸みを帯びた巨大な鍾乳石が出迎えてくれた。“パンプキンホール”と呼ばれる理由となった、かぼちゃのような形をした石である。

入口の段階で早くも来てよかった感がすごい。おばちゃんたちもそう言い続けているから間違いない。

“パンプキン”横の鍾乳石の急斜面を、ガイドさんがかけてくれたハシゴを使って海から上がり、奥へと進んでいく。進行方向側から手前に向かって滔々と水が流れ出てきていて非常に滑りやすい。

各自渡された懐中電灯を使って周りを見渡すと、上からは3万年くらいかけて大きくなったという鍾乳石が垂れ下がり、地下水が染み出して滝や池のようになっているところもあった。壮観である。

私が奥まったところにある何かに気づいて照らすと、とぐろを巻いた生き物が至る所で休憩中。すぐにガイドさんから、光で暖まって起きちゃうと噛まれて結構ヤバいと注意された。

お願いだから照らさないで……という懇願の目で3人衆がこちらを見ている。ごめん、おばちゃん。知らんかった。

ガイドさんによれば、この鍾乳洞は昔から島の人にとって海神様を祀る聖なる場所。

おばちゃんたちも神秘的な世界に圧倒されたのか、3人とも自分たちを包みこんでいる空間の壮大さに黙して胸打たれている様子だった。鍾乳洞内は静寂の中、水が流れていく音だけが響いていた。そこから出る直前までは。

「じゃあ、出来る人はここから海に飛び込んで帰りましょうか。無理な方はハシゴからどうぞ」

鍾乳洞の出口、再び戻ってきた“パンプキン”の上で、ガイドさんはそう私たちに声をかけると、ぴょーんと足から海へと飛び込んだ。

海面を覗き込むと、3メートルくらいはありそう。自分が見てもちょっと怖い。

結局、参加者のうち半分くらいが飛び込み、半分くらいがハシゴで降りるというような具合になった。私のちょうど前にいたおばちゃん3人衆は当然のごとくハシゴから降りようとしていた。

しかしである。

うちお一人、ここでは便宜上“川上さん”とお呼びするが、その方だけ、若い女の子たちが楽しそうに飛び込んでいく様子をじーーーっと見つめているではないか。まさか……。

「私……、飛ぶわっ!」

残るお二人が、そう宣言した川上さんを、歌舞伎役者が見得を切ったようなお顔で振り返った。

「!!川上さん!行けるの!?」「行くわ!だっていい思い出になるもの!」「そうなのね……飛ぶのね、川上さん!頑張って!!」

言ってしまったものの少々顔色が優れない川上さんは、私の1つ前で順番待ち。1人、また1人と皆様軽快に飛び込んでいく。さぁ、ついに川上さんの番である。

当たり前だが、なかなか飛び込めない。

通常の生活に落とし込んで考えると、近所のスーパーの安売りコーナーが3メートル下のプールに設えてあって、卵が1パック50円で売っていたとしても、自ら進んで飛び込まないだろう。ハシゴがあってもわざわざ降りて買いに行くどうか分からない。川上さんはどう見ても普通のおばちゃんなのである。

泣きそうな顔でこちらをクルリと振り向いた川上さん。

「大丈夫よね?大丈夫よね!?」

「滑らないように遠くに飛ぶような感じでいけば、大丈夫だと思います!」

必死で励ます私。何と言っても、川上さんが飛ばないと、飛びたい私は位置的にこのまま待機である。頑張るのだ、川上さん!

次の瞬間、川上さんは綺麗な大の字で飛翔した。

直後に、バッチャーーーン!とその日一番の水しぶき。

「プハーッ!やったわーー!私、飛べたわーーーぁ!!」

「すごいわ川上さん!」「私なんて絶対無理よ川上さん!!」

鍾乳洞の出口で、海に浮かびながら平昌五輪で銅メダルが決まった日本カーリング女子チームのように抱き合って喜ぶおばちゃん3人衆。彼女たちがワイワイ言いながら外へと泳いでいく後姿を、大きな“パンプキン”が悠然と見守っていた。

カヤックに乗り込みながら、「いい思い出になったわぁ」と感慨ひとしおの川上さん。残るお二人も川上さんの素晴らしさについてあらゆる表現を駆使して称えている。

ビーチへ戻るため、再び漕ぎ出したツアー一行。その中で最も賑々しい1艘だけが、まっすぐ大海原へと向かっていった。その先にはサイパンがある。

最終的におばちゃんたちのカヤックは、ガイドさんの船尾にロープでつながれ、引っ張られる形で帰っていった。

「これ楽だわー」「最初からこれがよかったわね」「あっ!あそこ魚が跳ねたわよ!」

そう沖合いを指さした川上さんの弾けんばかりの笑顔が、行きの時よりも高くなった日を浴びた宮古ブルーの海に、キラキラと照らされていた。

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

『旅ずきんちゃん』はTVerで見逃し配信中!

トップページから「旅ずきんちゃん」で検索

【画像】
※CBCテレビ『旅ずきんちゃん』