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「衝撃のラスト」と煽るテレビ番組とオープニングから呼吸が合わぬ……

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「ど……どなただろう……」

18日深夜に名古屋のCBCテレビで放送されていた『旅ずきんちゃん』を見ていたら、バイきんぐ・小峠さんと、おかずクラブのお二人の間に、可愛らしい小柄な女性が立っていた。

小池美由さん、と冒頭に字幕スーパー。

大変恐縮ながら初見である。ちなみにこの原稿はWordで作成しているが、“こいけみゆ”と入力すると食い気味に“小池美由”と出てくる。Wordくんは知っているのだ。このことで、私は極めて少数派であることを自覚した。

番組を見ながらスマホでお名前を検索してみればすぐに分かることではあるが、試しにそのまま見てみた。ご紹介パートが来るかもしれない。

来なかった。

小池さんのご職業が判明しないまま、番組が終わってしまったのである。

今回は“大阪を流れる淀川の源流を探す”という企画だったが、私は淀川の最初の一滴がどこにあるかよりも、小池さんがどういう方なのかが知りたかった。

これまで、当番組で初めて拝見するという出演者の方は何人かいらっしゃった。しかし、毎回“グラビアアイドルの”とか“モデルの”とか枕詞をつけて紹介するパートがあったため、スッキリと見られていた。

今回は構成上それが見当たらず、モヤモヤ感が尋常ではない。

旅の道中、小池さんは愛嬌たっぷりで常に笑顔であり、常にと言えば、なぜか他の共演者の方に対してずっとタメ口。

このあたりもきっと彼女の特徴なのかもしれないが、如何せん“女優だけどタメ口”“アイドルだけどタメ口”など、とっかかりがないので、どう捉えて楽しんでいいかが難しい。“スナイパーだけどタメ口”の可能性も捨てきれないからだ。

などと視聴後にアレコレ考えていたら、その“紹介不足による何者感”が特に直近までの自分の状態に似通っている点に気付き、ビクッとなった。

この記事の配信元はCBCテレビだが、私はその最寄りにあるライバル局・東海テレビ出身。一昨年に独立してWebやSNSを活用したPR等のプランナー兼ライターのようなことをしていて、ずっと名刺を作っていなかった。

“さほど必要ないから”と、“肩書きを何て書いたらいいのか分からないから”が理由の半々。ご挨拶の時にちょっと余分に時間がかかるくらいで、業務上差し支えなくやってきた。

ところが、去年の秋、神戸で開かれた数十人規模のとある勉強会にクライアントの代理として出席することが決まった時、当日を想像してみて不安がよぎった。

短時間で大勢の方同士が挨拶を交わす場では、それまでのスタイルではスピード感に乏しいのではないか、と。

自分のことを十分にお伝え出来ないまま挨拶が終われば、結果として、肝心のその後のコミュニケーションに負の影響が出るのは必然。そう考えると、端的に自己紹介が進む名刺とは何と便利なビジネスツールなのであろうか。

会社勤め時代は勝手に支給されていたせいか、こんな当たり前のことにすら気付かず、日々手裏剣のように使っていた。41歳、まだまだ未熟である。

すぐさまデザイン・印刷を発注し、何とか無事に名刺が間に合って迎えた勉強会当日。

「こちらをどうぞー」と受付で差し出されたのは、透明なプラスチック製の名札。各自の名刺を差し込み、胸につけて使うタイプのものだ。受け取るまでの1秒で嫌な手汗が出た。

コミュニケーションは、互いの立場の理解があると円滑になる。

特にテレビは不特定多数の視聴者に対して番組を放送する“マスコミ”であり、しかも一方的な情報の送り手である以上、そのあたりは細心の注意が必要だ。

今回の『旅ずきんちゃん』で言えば、バイきんぐ・小峠さんがずっと“源流企画”の辛さについてボヤいているのは、それが彼の芸風だと視聴者が分かっているからこそ“笑い”となる。私はたまたま小峠さんのことを存じ上げていたので、出演者の紹介パートがなくてもネタだと理解でき、楽しめた。

しかし残念なことに、私にとって小池美由さんはそうではなかった。

一言でも紹介があれば、より分かりやすかったであろう彼女の魅力が、伝わりづらく感じられたのである。

察するに、紹介パートがなかったのは、ロケ終盤で起こった“大雪で源流が見えない”という予想外の事態に、より多くの時間を割くことで番組の面白さを高めようとしたのだろう。別の言い方をすれば、制作側が“今回の出演者3組なら、紹介を省いても大丈夫”と判断したということだ。

テレビは未だに、テレビをよく見ている人の方が、そうでない人よりも楽しめるように作られている気がした。

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

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※ CBCテレビ『旅ずきんちゃん』