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全てが半分…「引っ越し強制断捨離」後にテレビで見る最新家電が異世界

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「記事読んだんだけど、このライターって平岡?」

大晦日の昼過ぎ、およそ20年ぶりに高校時代の同級生から連絡があった。

そのメッセージにリンクが貼られていた記事は、12月30日夜にYahoo!ニュース等から配信された『学年1位の高1女子に学年ビリの同い年男子が一目惚れしたら未来はこうなった』というタイトルのコラム。確かに私が高校の思い出について書いたものだった。

そう告げると彼は「自分のことのように誇らしい」と高揚していた。

それを大変うれしく感じた一方で、以前この時期だったらマンションの床暖房でぬくぬくしていた会社勤め時代とは違い、凍てつくアパートで下暖房によって暖をとりながら執筆したコラムだったとは、明かせなかった。

ちなみに下暖房とは、下階の住人がつける暖房によって暖まるという、安普請ならではの科学的でエコロジーなシステムである。しかし、彼らが不在がちな年末年始には恐ろしく効きが悪い。本稿を書き進めている今、私の背中では、冬場は懐くウチのネコがお尻を押し付けている。

2年前、CBCの最寄りテレビ局を辞めた際、最初の課題が家だった。

退職理由が概ね「40歳でキリいいし、気分転換しよ」という一身上の都合だったため、何せ収入が見込みを含めてゼロになる。当時住んでいた家の住宅ローンの支払いで汲々とするのも嫌で、買ってもいいよという方との出会いが偶然にもあり、渡りに船で売って賃貸に引っ越した。

床面積が半分、部屋数も半分になるという、分譲マンションから木造長屋アパートへの引っ越しは、下見に来た業者のチーフさんの息を呑む音がはっきりと聞こえたほど、物理的な意味で困難を極めた。

新生活というと家具や家電を新調して……というイメージがあるが、私の場合は色々とそれどころではなく、使っていたものをリサイクルに出したり親類にあげたりして、引っ越し先で普通に暮らせるだけの床面積をいかに確保するかがテーマだった。

そんなアパートで無事に迎えた2018年。狭いリビングに絶対3台もいらないテレビのうち1台では、名古屋・CBCテレビの『旅ずきんちゃん』新年初回が放送されていた。

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

品川庄司の品川さんが、元モー娘。の辻希美さんと尼神インターのお二人を連れ、最新家電を量販店で紹介。この番組で過去にも目にしたことがあるパターンのやつだった。一度うまくいくと、うまくいかなくなるまで繰り返し続けるのが昨今のテレビのトレンドである。

そこで見る家電の売り場は、さながら生活に関する大小様々な欲求の陳列会場のようだった。本の売り場は、市井の人々の知的好奇心や興味関心にあふれている印象を受けるが、それよりも生活に直結する欲であるため、だいぶ生々しい。

洗濯物のシワがへる、髪が早く乾かせる、布団が簡単に暖かくなる……。

今の自分からすれば、どこまで生活レベルを上げればそんな欲求が湧き出てくるのか不明だが、とにかく最新家電は少しでも家事の負担を減らすとともに、快適な暮らしに一役買うパートナーとなるべく、高機能化が進んでいるのである。

その度合いは、テレビ番組で繰り返しネタとして扱われていることからも分かるように、ただ見るだけでも楽しいレベル。年末に私が広い家電量販店内で目的の品にたどり着けず彷徨い続けていた時は、2005年に地元で開かれた『愛知万博』の会場を巡っているような感覚にすらなった。

身近な生活道具の機能がここまで高まり、その分こんなに高価になってるんだという驚き。

しかしそれは、私にとって身近だったものが自分には関係のない別世界のモノに変わってしまったという、どこか残念な気付きでもあった。

『旅ずきんちゃん』の番組中、出演者の皆様は逡巡しながらもそんな家電を次々に購入していく。家電好きな芸人さんとして、また子育てと芸能活動とを両立するママタレントとして、“見られる立場ならではの投資”という要素を加味しても、これぞ成功者の証だなぁと感じる。これは芸能人に限ったことではもちろんなく、番組によれば、紹介されていた家電の売れ行きはどれも好調で、一部は品薄だそうだ。

いいモノは高価でも売れる時代である。

ゆえに、メーカーは売れるいいモノを作ろうと汗をかき、量販店ではそれらの売り場の面積を広げたり、目立つところに置いたりして、お客さんにより良い暮らしを提案しようと躍起になっている。

そんな今は、フツーのものを出来ればお値打ち価格で買いたい私にとっては、好みの商品になかなか出会いづらい時代でもあり、ただただ不便が多い。

さて、お正月期間も終わった。我が木造アパートでは今後、下暖房のいっそうの活躍が期待されるが、実は唯一引っ越してから購入した心強い味方がいる。

小ぶりなガスヒーターである。

「室内で換気不十分な状態で使用すると、一酸化炭素中毒を起こし、死亡事故にいたるおそれがあります」

より良い暮らしどころか、暮らし終了の可能性を告げるそんな警告表示が本体にさらりとある期待のニューカマー。

寒さに耐えかね、運転ボタンを押そうと腰を上げると、背中で私に懐いていたネコが光の速さでヒーター前にスタンバった。

平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

 

 

【画像】
※CBCテレビ『旅ずきんちゃん』