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『ゴゴスマ』で見せるCBCの昼の顔と『本能Z』で見せる夜の顔

画像:CBCテレビ『本能Z』

【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

「現場としては気を遣わなくていいですし、提灯記事と思われるのは番組にとっても本意ではないので、どんどん厳しく書いてください」

コレは、名古屋のCBCテレビで放送されている『本能Z』について書いた当コラムの初回を読んだ番組責任者の方から、私にお寄せいただいた言葉である。

提灯記事とは、いわゆる宣伝記事のこと。この一言からは少なくとも、番組責任者の方がSかMかで言えばMであろうことが分かる。

ついに気を遣わず引用することになってしまったのは、『本能Z』が初めて面白かったと書くからだ。

特に秀逸だったのは6日放送分の中継コーナー『本能ザLIVE』である。

画像:CBCテレビ『本能Z』

見たことがない方のために一番分かりやすく説明すると、他局の『マツコ会議』っぽく、潜入中継先とスタジオ出演者が絡む、というもの。この秋以降に始まったばかりなのだが、3回目くらいから名物コーナーを自称している。お土産と同じで、言ったもん勝ちだ。

中継先に選ばれるのは、スタジオの今田さんや東野さんが行けない話題のスポット。今回は名古屋最大の歓楽街・錦にある『セットサロン』という髪のセットだけをする店だった。雑居ビルにある店内は当然の如く、ホステスやキャバ嬢たちでいっぱいである。

独身の今田さんはお店の方には頻繁に潜入していそうだったが、こうした特殊なサロンはないだろうから、企画の主旨とも齟齬はなかった。

小学校から大学まで名古屋市立の私が見て、CBCは水商売や風俗関連ネタの扱い方の練度が非常に高い。

基本的にキャバクラ等は、当たり前だがお客さんのプライバシー等に特に配慮するため、お店でのロケは難しい。しかし今回のロケ先はそうしたお店でなくセットサロン。制作上、比較的自由度がある。

さらに、色々なお店に勤める皆様が集う場所というのも絶妙である。一晩に3,000万円稼いだというトップクラスのキャバ嬢から、2人のお子さんを育てるママのママまで、聞けるお話がバラエティーに富んでいた。ここでボカシがかかっていると興ざめなのだが、インタビュー相手は全員お顔もOK。痒い所を分かっている。

中には、夜のお仕事を選んだ理由として、昼間起きられないからとだけ語るぶっ飛んだ方もいて、そうした世界に不案内の私が見ると衝撃度がすごかった。

画像:CBCテレビ『本能Z』

しかも中継では、接客業の女性をターゲットにした“セット専門”という特殊な店に関するネタも拾う。

働く美容師さんが”髪を切らないお店”を選んだ美容師特有の事情や、現在の名古屋での市場規模、給与水準などを次々明らかにしていく。全体として、やり様によってはニュースの企画コーナーでも十分扱えそうな内容であった。

このごろ、テレビに“キレイゴト”が増えている印象を受ける。

視聴者から、批判や叱責を受けそうなものは避け、当たり障りないものを放送するという風潮だ。

視聴率という結果責任を負っているテレビ局あるいは制作者が視聴者のことを気にするのは当たり前だが、はなから視聴者に合わせたり、察したりして番組を制作するのは違うと私は考えている。

番組を見て、感想を持ち、それを発信する自由が視聴者にあるのと同じで、制作者には番組を作る自由がある。言い換えれば、制作者が視聴者に対して「ここをこのように見てこう感じてほしい」と感想について指図できないのと同様に、視聴者が制作者に対して内容についてこのようにしてほしいと指図はできないのだ。

冒頭で勝手に紹介した言葉からも感じられるように、『本能Z』番組責任者の方はそのあたりをきちんと踏まえられていて、しだいに触れづらくなってきている“夜の蝶”の在り様を堂々と切り取って見せたのだと思う。

何事も表があれば裏があり、昼の仕事があれば、夜の仕事もある。どちらがいい悪いではない。ただ、あるのだ。

ご当地・名古屋にとって中区の錦三丁目、通称“錦三”は間違いなく文化であり、今できる手段を尽くしてテレビで扱おうという姿勢に賛辞を贈りたい。

なお、これは提灯記事ではない。

文/平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

 

【画像】

※ CBCテレビ『本能Z』