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見えそうで見えない…天才肌の岡井千聖が起こした奇跡

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

【コラム:ナゴヤ東新町 一五一会】

数えたら当コラムもちょうど20本目なので、久々に趣旨説明から入る。

名古屋に本社があり、最近お昼の生情報番組『ゴゴスマ』が絶好調で、関東地区で日本テレビ系『ミヤネ屋』の視聴率を上回ったり、名古屋地区で10月全日帯(6時から24時まで)の月間視聴率が各民放・NHKの中で36年ぶりに1位となったりして、さぞや社内はいい雰囲気であろうCBCテレビ。

当記事は、そのCBCテレビがどういうわけか、地元ライバル局出身の私に「番組見て好きなこと書いて」という発注をして、本当にそのまま配信され続けているという稀有なコラムである。

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

今回は11月5日(日)深夜に放送された『旅ずきんちゃん』に関するお話。

番組MCである大久保佳代子さんが渡辺満里奈さん、岡井千聖さんとともに、“原宿ハカセが教えるディープな旅”に出かけるという内容であった。

原宿通りのアーケード前という渋い場所で、番組冒頭部分の収録のためにズラリと並んだお三方。そのまま歩き出して流行スポットに向かうかと思いきや、いきなりレトロな老舗居酒屋に突っ込んでビールで乾杯した。

勝手に、ぺこ&りゅうちぇるさん風だと想像していた“原宿ハカセ”が、明らかに原宿・表参道・青山近辺で酸いも甘いも噛み分けたような雰囲気の女性の方だったので、そのディープなチョイスも納得だ。

さぁ、この場面である。

少なくとも私にとっては、出演者の皆様による軽妙かつ愉快であっただろうトークの記憶が全くないほどのインパクトを持つモノが、映り込んでいたのだ。

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

画面中央、渡辺満里奈さんの真後ろにある壁に貼られていたポスターである。

横1.2メートル・縦60センチほどの大きさで、デザインは、石灰岩とみられるものが階段状にせり出している鍾乳洞を、綺麗にライトアップした一枚写真。その左上には、目立つように白抜きでこう書かれていた。

「山口には、名駅地下にも負けない、大パノラマがあります。」

どこからどうツッコんでいいのか分からないポスターなのだが、とにかくそれが、なぜか東京・原宿の老舗居酒屋の壁にどーんと貼ってあって、そのパートのほぼ全編にわたって映り込んでいたのだ。なお『名駅』とは名古屋駅の略であり、『札駅』と同じ類である。

しかも、「山口には……」のキャッチコピーの文字サイズが、テレビ画面に表示されている左上スーパー「80年代原宿ハカセが教える旅 渡辺満里奈デビュー秘話」等よりも大きく、また貼られている位置も絶妙なため、どうしても山口の大パノラマの素晴らしさに目が行ってしまうのだ。

特に私にとって、山口は父親の出身地であり、母親が名古屋なので、ピンポイントで刺さってしまった。念のため記しておくが、秋芳洞は素敵なところだ。

そして、さらに悪いことに、ポスターの右下の位置には、「けっこう……」とキャッチコピーの一部だけは確認できるものの、それに続く文字が着座している岡井さんによって隠されている。岡井さんは動きがダイナミックなので、時折チャンスが訪れるものの、絶妙に見えそうで見えない。最後の一文だけくり抜くと変態のようであるが、後ろのポスターの話である。

何て書いてあるんだ、けっこう“何”なのだ……。人間の頭は不器用にできていて、気になることが別にあるとトークが頭に入ってこないものだった。

テレビは言うまでもなく映像と音声によるメディアである。そのうちメインはやはり映像だろう。そのため“絵作り”は、被写体を通じて番組が伝えたいメッセージを的確に発信しようと、演出陣・技術陣・美術陣ともに中継・収録問わず最もこだわる部分のはずだ。

今回のような場合、お店の女将さんに相談して、収録中だけポスターを剥がさせてもらったり、少なくとも文字のところに何か上手いこと重ねたりしてしのぐパターンが多いと思う。だが結果は、書き連ねてきた通りである。

出演者が番組を盛り上げようと努力する一方で、制作側は本来、彼女たちの成果をさらに増幅させるよう演出するのが仕事であるはずだけに、たった1枚のポスターのおかげでトークに集中できなかった私は、それを何とも残念に思った。

ここからは完全に自分の推察だが、今回の件は『旅ずきんちゃん』としての原宿旅という“タテマエ”と、ゲストの渡辺満里奈さんを中心としたトークを推したい“ホンネ”が、うまくマッチしなかったから起きたのではなかろうか。

私がきちんと見始めた今年8月以降の『旅ずきんちゃん』は概ね、ロケ時点の旅先で起こることを中心に構成されていた。

しかし今回は、前述した画面左上のスーパーで、「80年代原宿ハカセが……」と年代がしれっと付け足されていたことからも醸されるように、かつておニャン子クラブの人気メンバーとしてご活躍されていた渡辺満里奈さんに関する80年代トークに馴染む舞台として、当時の流行発信地である原宿を“旅先”に設定したのだと察せられる。

その帳尻合わせのほころびが、結果として原宿の居酒屋で露見してしまった。私はそう考えている。

画像:CBCテレビ『旅ずきんちゃん』

さて、結びはその居酒屋の話で積み残していたアレである。

店内でのトークの終盤、それまでポスター右下のキャッチコピー「けっこう……」の先を隠し続けてきた岡井さんが、ついにやってのけた。この日一番のリアクションを見せ、左後ろに見事大きくのけ反ったのである。明らかになった答えは……

「けっこう近い」

先に記した、ツッコマビリティ高い大パノラマコピーから察するに、元々そのポスターは山口の観光推進を目的として名古屋エリアでの掲出を前提に製作されたものであろうから、ここでの距離は、山口~名古屋間のことだと思われる。

今回の『旅ずきんちゃん』と同様、無理はよくない。

文/平岡敏治(ウェブ・ソーシャルメディアプランナー/ライター)

 

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11月5日(日)放送分
[配信期間] 11月12日(日)23時29分まで

 

【画像】

※ CBCテレビ『旅ずきんちゃん』