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死を賭してブームを巻き起こした「エリマキトカゲ」

先日、今年の6月12日に上野動物園で生まれたジャイアントパンダのメスの赤ちゃんの名前が『シャンシャン』(香香)に決まり、久々に明るい話題となりました。

1972年に初めて日本で公開されてから、多少の浮き沈みはあったものの、パンダは動物界の人気者として活躍し続けています。

パンダを最も幸福な珍獣とするならば、最も不幸な珍獣は何でしょうか? わたしはエリマキトカゲをおいて他にないと思います。

エリマキトカゲがブームになったのは、1984年6月。三菱自動車が新車のイメージキャラクターとして、エリマキトカゲをテレビCMで採用したのがきっかけでした。

トカゲがえり巻きのような皮膚飾りを広げて、後ろ足だけで立って猛スピードで走るユーモラスな姿に視聴者は大喜び。エリマキトカゲはたちまち国民的アイドルとなり、玩具やファンシーグッズ、文具、レコードなど凄まじい勢いで商品化されていきました。版権料がかからないため、このブームに乗らない手はない、とばかりにあらゆる企業が飛びついたのです。

ファンシー化されたマスコット人形

 

鉛筆を差し込んで机の上をパタパタと走らせる玩具

 

ブームだったとはいえ、夜光人形はミスマッチでは?

 

プラモデルは少なくとも2種発売されました。

このうち、アリイのプラモを製作しました。本来はゼンマイ仕掛けで本物のようにバタバタと走るのですが、ここは大人っぽく超リアルに仕上げてみました。どうです? なかなか男前じゃないですか!

さて、実はエリマキトカゲがえり巻きを広げるのは“命懸け”のときだけでした。エリマキトカゲは自分の縄張りに侵入者が来た場合のみ、普段は背中側に折りたたまれているえり巻きを広げて相手を威嚇する習性があり、相手が自分より強いと分かるとえり巻きを広げたまま、後ろ足だけで立ち上がり、スタコラ走って逃げるのです。

しかし、哀れなことにブーム時に見世物として輸入されたエリマキトカゲたちは、無理矢理えり巻きを広げさせられ、次々とストレスで死んでいきました。ああ、彼らの屍の上にブームは成り立っていたとは…。

ところで、例の自動車の売上は芳しくなかったそうです。ブームを支えていたのは子供と女子だったので当然でしょう。エリマキトカゲは無駄死に(実際にCMの個体が死んだかは分かりませんが)だったわけです。

そんなエリマキトカゲにいま一度、陽が当たることを願ってやみません。

(写真・文/おおこしたかのぶ)